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単独飛行

今日、大英帝国(あえてこう書く)の作家「ドアルド・ダール」「単独飛行」を読み終えた。

ダール
この文庫本は、確か15年ほど前に購入したと記憶している。なので、今回読んだのは2度目になる。


本の前半は、第2次大戦前に、22歳でシェル・カンパニーに入社して、アフリカに赴任する旅から始まる。アフリカ航路の船の中で、世界各国にあるイギリスの植民地で仕事をしている人たちと知り合う。その人たちの描写がとてもおかしくて、思わず笑ってしまう事が何度もあった。


ダールは、故国を遠く離れた植民地で、長年生活してきたイギリス人は、すべて何らかの意味で狂っているという事を知る。植民地の過酷な気候風土や、さまざまなストレスで、おかしくなってしまわざるを得ない事を暗に表現している。


しかし、ダールは赴任地であるアフリカの生活を大いに楽しむこととなる。だが、第2次大戦が始まったために、2年ほどでアフリカ赴任を解かれる。


ダールが赴任したアフリカの地は、第1次大戦後に、ドイツ領からイギリス領となっていた。そのため、イギリス人より圧倒的にドイツ人の入植者の方が多かった。


第2次大戦が始まったとたん、現地の民間イギリス人のすべての男性は、イギリス陸軍の下級将校にでっちあげられる。そして、民間のドイツ人を敵国人として捕虜にする任務を言い渡される。


軍隊経験が全くないダールは、いきなりアフリカ人で組織された現地小隊の指揮を任される。イギリス軍の上官は、ドイツ人がおとなしく捕虜とならなければ、機関銃でなぎ倒せとの恐るべき命令を下す。


仕方なく、にわか将校のダールと現地小隊(おそらく10数人)は、武装した何百人ものドイツ人の避難民を、国境に通じる幹線道路で、検問を設けて待ち受ける。ダールは、現地小隊をジャングルに隠れて待機させ、一人でドイツ人避難民達の行列を止める。


にわか将校のダールは、ドイツ人避難民の代表らしき中年男に対して、たった一人で毅然と(内心ビクビクもので)全員捕虜にするとの宣言をする。


しかし、ドイツ人の代表は、ルガーP08(1908年制定ドイツ軍用ピストル。ちなみに、1938年制定のドイツ軍用ピストルは、ワルサーP38という・・・いかんいかん軍事オタクがばれてしまう)をダールに突き付け、検問を突破しようとする。


そのとたん、ジャングルに隠れた小隊の狙撃兵が、ドイツ人の代表の頭をライフル(いわゆる小銃と言われるが、その威力はピストルの10倍はあろうかと思われる。筆者はグアムで軍用モーゼルライフルを撃った事があるが、それはそれは強力であった)で射抜く。


ライフル弾で頭を射抜かれたドイツ人の脳しょうと頭蓋骨の破片が、ダールの顔やら服などにベッタリと張り付いてしまう。ダールは、この凄惨な状況に、心が折れそうになりながら、何百人ものドイツ人避難民を捕虜収容所に送り届ける事に成功する。これが、単独飛行の前半部分である。


シェル・カンパニーの社員として、現地の使用人との心温まる部分もとてもおもしろいが、前半のクライマックスは、上記のドイツ人を捕虜にしたくだりであろう。


この本を読んで、良い悪いは別として、植民地経営に長けた大英帝国の凄さを垣間見た。それに比べて、当時の大日本帝国の植民地経営は、稚拙だったんだなあと思った次第である。


以上が本の前半だが、ダールはその後、イギリス空軍に入隊して戦闘機パイロットとなる。次回はハリケーン戦闘機を駆って、第2次大戦の大空を飛ぶダールの話を書こうと思う。

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オッカイポ

Author:オッカイポ
1950年生まれの年金生活者です。旅の記録や、オーディオ・音楽・読書、そしてバイクレース等について綴っていきます。